2023年11月定例会 湧川朝渉 代表質問

湧川 朝渉

2024/05/10

◆湧川朝渉 議員 
 ハイサイ、日本共産党の湧川朝渉です。代表質問を行います。
 (1)市民の悲鳴が上がっている物価高騰の状況を伺います。
 (2)今回の物価高騰がとりわけ市民・国民生活にとって苦しく深刻な打撃となっているのは、自民党政治の下で30年という長期にわたって経済の停滞と衰退、言わば失われた30年で暮らしの困難が続いているところへ、物価高騰が襲いかかっているところによるものです。日本はこの30年で、先進国で唯一、賃金が上がらない国となっています。
 そこで、1991年から2022年にかけてのアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本の実質賃金の伸びと、沖縄での実質賃金、1人当たりの県民所得を伺います。
 (3)賃金が上がらない国にしてしまった最大の原因は、財界の要求に応じて進められた雇用破壊の政治であります。目先の利益拡大の経営に走る財界の要求に応えて、労働法制の規制緩和が繰り返され、低賃金で不安定な非正規雇用で働く人を労働者の4割まで広げ、正社員には長時間労働が押しつけられ、その一方で、大企業の内部留保はこの10年間でも180兆円近く増え、510兆円にも膨れ上がっています。大企業が利益を増やしても、内部留保に滞留し、賃上げや下請単価の上昇などで経済全体に還流しない構造がつくられてしまっているところが、日本経済のまともな成長の大きな障害になり、企業自身にとっても発展の障害になっています。見解と沖縄県の最低賃金、失業率、非正規雇用率を伺います。
 (4)日本共産党は、経済再生プランで政治の責任で賃上げと待遇改善を進め、人間を大切にする働き方への改革へ、物価上昇を上回る賃上げを政治の責任であらゆる分野で進め、最低賃金を時給1,500円、月額でも手取り20万円程度に引き上げることを提唱しました。現在、大企業の内部留保は510兆円にもなります。この10年間で180兆円近くも増えている。利益が増えても賃金に回らず、内部留保が積み上がる。このゆがんだ構造に切り込み、大企業内部に滞留する巨額の資金を賃上げで経済に還流する方策を取らなければ、長期の賃下げと経済停滞を変えることはできません。この10年間に大企業が増やした内部留保額に対して、毎年2%、5年間の時限的課税で10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げを支援する。大企業の内部留保課税に当たっては、賃上げ分を控除し、賃上げすれば課税されない仕組みとして、大企業自身の賃上げを促進する改革を提案しています。
 見解を伺います。
 (5)日本はこの30年で消費税は5%から、8%、10%へと14兆円もの大増税が行われ、社会保障のためとの名目で増税したのに、増税分は富裕層・大企業減税などの穴埋めに消え、社会保障は、年金、医療、介護などあらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されています。この30年ほどの間に、国民年金保険料は2倍、国保料・税1人当たりは1.5倍、介護保険料も2倍になりながら、年金は10年前に比較して実質7.3%も減り、医療の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方です。日本は社会保障への公的支出は先進国で極めて低い水準です。この重税と貧しい社会保障への見解を伺います。
 (6)消費税増税が繰り返されるたびに、国民の実質所得が大きく奪われ、経済と景気は大打撃を受けてきました。時事通信の世論調査では、消費税減税に賛成が約6割、自民党支持層でも半数近くが賛成しています。これは、これまでにない国民の悲鳴の表れです。政府は物価高騰対策として一番効果のある消費税減税を検討すべきです。見解を伺います。
 (7)日本はこの30年余、財界・大企業の目先の利益が優先され、食料は海外から買えばいいと輸入自由化と農業潰しを進め、原発と石炭火力を推進する一方で、100%国産エネルギーである再生可能エネルギーの開発・活用を後回しにしてきた結果、暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを外国からの輸入に頼る不安定な経済社会に落ち込んでしまっている。省エネと再エネによる気候危機打開の取り組みも大きく立ち遅れています。
 食料自給率は38%と、この30年余で10ポイント近くも下落。エネルギー自給率も10%と先進国で最低水準である。暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを外国に頼っていることが、ウクライナ侵略など国際情勢の危機に際して脆弱な経済になってしまっています。見解を伺います。
 2.教育費の軽減について。
 (1)日本は世界有数の高い学費に加え、無償とされる義務教育でも給食費など重い教育費の負担が暮らしにのしかかっています。高学費と貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額10兆円にも及び、30年間で7倍にもなっています。教育への公的支出も抑制・削減され、日本は教育への公的支出は先進国で極めて低い水準です。この現状についての見解と学生の奨学金の平均借入総額を伺います。
 (2)全国、本県での学校給食の無償化、軽減の実施状況を伺います。
 (3)日本国憲法第26条では、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とうたわれています。当初自己負担を求められていた教科書は無償化されており、学校給食においても、無償化し、保護者負担を軽減することは、物価高騰が続く現在においてもその必要性が極めて高くなっています。
 玉城デニー県知事は、学校給食費の無償化を公約に掲げ、沖縄が合計特殊出生率全国1位となる一方で、子供の貧困率が全国の2倍以上となっている現状を踏まえ、学校給食費の無償化に向けての財政支援を政府に要請しました。沖縄県の試算では沖縄の学校給食費無償化実現には小中学校で約50億円、高校も含めると約60億円の財源確保が必要とされている。義務教育の無償化をうたった憲法を遵守し、国の制度として、学校給食の全国一律無償化の実現が求められています。見解を伺います。
 (4)市議会は、11月臨時会で学校給食費無償化の早期実現を求める意見書を全会一致で採択しました。見解を伺います。
 3.夜間中学(学級)について。
 (1)沖縄戦や戦後の貧困のために、義務教育を受けられなかった人の割合が全国で最も多いのが沖縄県です。2020年の国勢調査での小学校にも中学校にも在籍したことがない人、最終学歴が小学校の人の全国、沖縄、那覇市の状況を伺います。
 (2)不登校児童生徒の状況を伺います。
 (3)県内には公立の夜間中学(学級)がない。公立夜間中学は、義務教育機会確保法成立(2016年12月)以降、全国各地で新設されています。全国での設置状況を伺います。
 (4)2023年10月に行った、教育委員会の夜間中学に関する行政視察の概要と考察を伺います。
 (5)那覇市議会議員が中心となり「那覇市立夜間中学校(学級)をつくろう!」と題したシンポジウムが開催され、学びに遅過ぎることはない、学ぶことは生きること、小学校にも中学校にも在籍したことがない方、最終学歴が小学校の方、不登校の方、外国籍の方に学びの機会を提供することは政治の責任です。夜間中学(学級)の必要性について、市長と教育長に伺います。
 残りは、自席にて行います。

○野原嘉孝 議長 
 知念覚市長。

◎知念覚 市長 
 湧川朝渉議員の代表質問のうち、私のほうからは1番目の(1)物価高騰の状況についてお答えいたします。
 民間企業の調査によりますと、昨年の値上げ品目数は累計で約2万6,000品目となっておりましたが、今年は約3万2,000品目を超える状況となっており、また、1回当たりの値上げ率についても昨年の平均14%から今年は15%となるなど、昨年の水準を上回る状況となっております。沖縄県は、全国に比べ物流コスト等による物価上昇の影響を受けやすいとされていることから、相次ぐ商品の値上げが家計を直撃するなど、物価高騰が市民生活を圧迫している現状であります。
 本市といたしましては、物価高騰対策に関する予算を本議会において追加議案として上程を予定しており、対策を講じてまいりたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 高宮修一経済観光部長。

◎高宮修一 経済観光部長 
 代表質問1番目の(2)(3)(4)(7)に順次お答えします。
 まずは(2)について、国の公表している2020年までのデータでお答えいたします。
 内閣官房の新しい資本主義実現本部事務局公表の資料によりますと、1991年から2020年にかけての欧米と日本の実質賃金の伸びについては、アメリカが1.47倍、イギリスが1.44倍、フランスが1.30倍、ドイツが1.34倍、日本は1.03倍となっております。
 沖縄県における実質賃金につきまして、沖縄県発表の毎月勤労統計調査によりますと、2022年の平均で前年比2.5%減となっており、内閣府の県民経済計算によりますと、令和2年度の1人当たりの都道府県民所得は全国平均約283万円に対し、沖縄県は約217万円となっております。
 次に(3)についてお答えいたします。
 報道等によりますと、国内企業の内部留保は、昨年度は約555兆円で、11年連続で過去最高となっているとされております。内部留保については、成長への意欲が後ろ向きなどとの声もある一方で、コロナ禍においては、倒産回避や資金安定、雇用維持などの企業を下支えした状況もあると言われており、2つの側面があるものと認識しております。
 次に、沖縄県の最低賃金の現状につきまして、沖縄労働局の発表によりますと、令和5年10月8日より43円増の896円となり、上昇率は5.0%と全国平均の上昇率を上回っております。
 次に、沖縄県の失業率及び非正規雇用率につきましては、沖縄県労働力調査によりますと、令和5年9月時点における失業率は3.4%、非正規雇用率は41%となっております。
 次に(4)についてお答えいたします。
 内部留保に関し、大企業自身の賃上げを促進する改革案については、全国にまたがる広域的な施策であるため、国で検討されるべきものと考えており、今後、国の動向等を注視してまいります。
 最後に(7)についてお答えいたします。
 国内の食料自給率は、令和3年度の農林水産省の概算値でカロリーベースにおいては、38%となっており、外国からの輸入に頼っている現状があると推察されます。
 安定供給の面において、国内の食料自給率の向上は重要であると考えられることから、今後も国等の動向や情勢を注視してまいりたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 宮城寿満子福祉部長。

◎宮城寿満子 福祉部長 
 代表質問の1番目の(5)についてお答えいたします。
 国が公表している資料によりますと、個人や企業など国民全体が稼いだ国民所得に占める、年金、医療、介護などの社会保障費の負担割合は、1993年には11.5%であったのに対し、2022年には18.8%で、30年間で7.3ポイント上昇しております。また、昨今の物価高騰やデフレなどの影響もあって、国民、特に高齢者や低所得世帯における社会保障費に対する負担感はさらに増加している状況にあるのではないかと推察しております。

○野原嘉孝 議長 
 堀川恭俊企画財務部長。

◎堀川恭俊 企画財務部長 
 代表質問の1の(6)についてお答えいたします。
 時事通信が11月に全国18歳以上2,000人を対象に行った、消費税減税の賛否に関する世論調査においては、57.7%の賛成があったということは承知しているところでございます。しかしながら、国は、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、消費税を社会保障の安定財源と位置づけており、消費税率を引き下げることは考えていないと、このように言明しているところでございます。
 本市としましては、引き続き、消費税に関する国の方針や措置などの動向を注視してまいりたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 稲福喜久二教育委員会生涯学習部長。

◎稲福喜久二 教育委員会生涯学習部長 
 代表質問の2の(1)についてお答えいたします。
 日本が先進国に比べ教育への公的支出が低い現状について、国は第3次教育振興基本計画において、OECD諸国における公的支出など教育投資の状況を参考に、必要な予算を財源措置し、真に必要な教育投資の確保が必要と示しております。本市としても同様に考えております。
 また、奨学生の平均借入総額については、令和4年9月に実施した労働者福祉中央協議会の奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書によると310万円となっております。

○野原嘉孝 議長 
 名嘉原安志教育委員会学校教育部長。

◎名嘉原安志 教育委員会学校教育部長 
 御質問2番目(2)~(4)まで順次お答えいたします。まず(2)についてお答えいたします。
 学校給食費無償化の実施状況につきましては、報道によりますと、国の交付金を活用し期間限定で実施している自治体も含めて、全国で今年度491の自治体が実施しております。また県内11市の状況につきましては、今年度10月時点で無償化を実施しているのは本市を含め5市となっております。
 次に(3)についてお答えいたします。
 保護者の負担を軽減し、学校給食を安定的に提供できるよう、学校給食費を国の制度として無償化するよう、全国市長会及び中核市市長会等を通し、国に要望しております。
 次に(4)についてお答えいたします。
 学校給食費無償化について、11月那覇市議会臨時会で、「学校給食費無償化の早期実現を求める意見書」が全会一致で採択されました。
 本市としましても、学校給食費無償化が早期に実現できるよう、県や他市町村と連携して取り組んでまいります。
 続いて御質問の3番目、(1)~(5)について順次お答えいたします。まず(1)についてお答えします。
 2020年の国勢調査によりますと、未就学者数は全国に9万4,455人、そのうち沖縄県に2,391人、那覇市に339人との結果となっております。最終学歴が小学校の方の数は全国に80万4,293人、そのうち沖縄県に1万5,938人、那覇市に2,594人との結果となっております。
 2023年の文部科学省の資料によりますと、沖縄県において、人口に占める未就学者の割合は0.2%で、全国で最も高い割合となっております。また人口に占める最終学歴が小学校の方の割合は1.3%で、全国で7番目に高い割合となっております。
 次に(2)についてお答えいたします。
 那覇市の不登校児童生徒の状況につきましては、2020年度743人、2021年度982人、2022年度1,303人となっております。1,000人当たりの不登校児童生徒の割合は、2022年度那覇市で47.1人、沖縄県38.1人、全国31.7人となっております。
 次に(3)についてお答えいたします。
 全国における夜間中学の新設状況は2020年度に1校、2021年度に2校、2022年度に4校、2023年度に4校となっており、2023年10月現在で、17都道府県に44校となっております。
 次に(4)についてお答えいたします。
 10月に、尼崎市立成良中学校琴城分校、姫路市立あかつき中学校、徳島県立しらさぎ中学校、三豊市立高瀬中学校の4校の視察を実施しております。
 幅広い年代の方が通学しており、学ぶ目的も多岐にわたっていることから、個々の学ぶ目的に応じた教育を提供し、学びを保障することが重要であるとの認識であります。それを実現するために、設置主体や設置形態等にかかわらず、多岐にわたるニーズに対応できる教員の確保、幅広い年代の方々に利用しやすい施設の整備、また交通の利便性についても検討してまいります。
 最後に(5)についてお答えいたします。
 先日行われた那覇市議が中心となって主催したシンポジウムと沖縄大学が主催したシンポジウムでは、夜間中学の必要性について活発な議論を聞くことができました。今回の先進地視察を通し、全ての人々の学ぶ権利を保障するために、公立夜間中学設置の必要性について再認識したところでございます。

○野原嘉孝 議長 
 湧川朝渉議員。

◆湧川朝渉 議員 
 夜間中学(学級)の必要性について、市長と教育長に伺います。

○野原嘉孝 議長 
 山城良嗣教育長。

◎山城良嗣 教育長 
 お答えいたします。
 2020年の本議会の決議にもありますように、誰一人取り残さない優しい沖縄づくり、また、全ての人々の学ぶ権利が保障される公立夜間中学の必要性を強く感じているところであります。先日行われた2つのシンポジウムにより、市民へもその必要性の周知が図られたものと理解をしております。今後、先進地視察の成果や現在実施中のニーズ調査及びヒアリング調査の結果等を踏まえ、教員確保や施設整備、設置主体等について沖縄県と協議をしてまいります。

○野原嘉孝 議長 
 仲本達彦政策統括調整監。

◎仲本達彦 政策統括調整監 
 私もさきのシンポジウムに参加をいたしまして、登壇したお二方の実践者あるいは先駆者としての熱い思いが込められたお話しを拝聴いたしました。
 夜間学級、それ自体は事情によりその機会を失った方々の学びの機会を確保するという点で意義があるものと認識をしております。今後、教育委員会において先進自治体の視察の成果も踏まえつつ、多角的な検討を進めていくものと考えております。
 市長部局といたしましても、その動向を注視するとともに必要なサポートを行ってまいりたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 湧川朝渉議員。

◆湧川朝渉 議員 
 電力・ガス・食料品給付金事業の概要を伺います。

○野原嘉孝 議長 
 宮城寿満子福祉部長。

◎宮城寿満子 福祉部長 
 お答えいたします。
 令和5年11月2日に閣議決定されたデフレ完全脱却のための総合経済対策において盛り込まれた低所得者世帯支援につきましては、関連予算を含む重点支援地方交付金が計上された国の補正予算が11月29日に成立し、同日付で事務に関する通知が発出されました。具体的な実施方法につきましては今後決定する予定としておりますが、申請しないことによる支給漏れを少なくするためにも、可能な限り申請不要の方式による支給を検討してまいりたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 湧川朝渉議員。

◆湧川朝渉 議員 
 那覇市プレミアム商品券事業の概要を伺います。

○野原嘉孝 議長 
 高宮修一経済観光部長。

◎高宮修一 経済観光部長 
 本定例会の追加議案として重点支援地方交付金を活用した、プレミアム付商品券事業の補正予算案を上程することとしております。現在、事業の実施に向けて、事業者ヒアリングや見積もり徴収、スキーム等の整理を進めているところでございます。現段階の想定では、予算総額8億円でそのうちプレミアム分は約6億円を見込んでおり、プレミアム率は20%から30%程度として、市民を対象に販売していきたいと考えております。

○野原嘉孝 議長 
 湧川朝渉議員。

◆湧川朝渉 議員 
 終わります。

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