2022年6月定例会 前田千尋 代表質問

前田 千尋

2022/11/09

◆前田千尋 議員 
 ハイタイ、グスーヨー チューウガナビラ(皆さん、こんにちは)。日本共産党の前田千尋です。日本共産党の代表質問を行います。
 初めに、1.物価高騰・コロナ禍から暮らしと営業を守ることについて。
 5月19日、日本共産党那覇市議団は城間幹子市長へ、「物価高騰・コロナ禍から暮らしと営業を守る緊急対策の強化を求める申し入れ」を行いました。以下の14項目について対応を伺います。
 (1)飲食店や商店、観光関連業者、中小零細事業者に対し、固定費補助等をはじめ、支援策を早急に具体化すること。
 (2)公共事業等において、燃料、資材などの値上がりによる影響を調査し、適切な公共事業等の発注になるよう対策を講ずること。
 (3)インボイス制度がシルバー人材センター登録者に影響を及ぼさないよう対策を講じること。
 (4)国民健康保険税は18歳未満の均等割負担分を市が全額補助すること。
 (5)後期高齢者の医療費窓口負担の2倍化を凍結するよう国に求めること、市は非課税者の窓口負担を助成すること。
 (6)低所得者、ひとり親家庭への経済的支援策をさらに拡充すること。
 (7)生活保護受給世帯へ緊急的な見舞金を支給すること。
 (8)子ども医療費助成については、県とも連携して対象年齢を高校卒業まで広げること。
 (9)就学援助基準の引上げで対象者を拡大し、支給内容を拡充すること。
 (10)学校給食に関しては、食材料の値上げによる給食費の引上げは行わないことと、質の低下を招かないよう、食材の高騰分を市が負担すること。
 (11)学校給食費の無償化をはじめ、教材費等の保護者負担軽減を真剣に検討すること。
 (12)公租公課の減免を拡充すること。
 (13)介護、福祉施設に対してガソリン代の補助を行うこと。
 (14)上下水道料金の基本料金を新型コロナ対策で実施されたように4か月間免除すること。
 2.政府の物価高騰・コロナ禍対策の拡大強化について。
 物価高騰・コロナ禍から当面の暮らしと営業を守り、経済を回すためにも、政府は国民の声に応えて次の16項目を早急に実施すべきです。
 ①コロナ禍の下で世界84の国・地域で消費税減税が行われている。日本でも消費税を直ちに5%に引下げ、インボイス制度導入の中止と、消費税の納税困難事業者に対する減免措置の実施。
 ②固定費を補助する直接支援を継続。既往債務と利息の返済凍結、運転資金の確保のために、20年返済・据置期間10年・期間中無利子の融資制度を創設。
 ③事業復活支援金を持続化給付金並みに拡充し、家賃支援等給付金を再支給。
 ④原油価格高騰対策として、トリガー条項の発動を含む卸売価格の引下げを図る。
 ⑤飲食店・運輸・中小製造業等の事業用燃油と農業、漁業用の燃油価格を引き下げる。
 ⑥小麦の政府売渡し価格を引き下げる。
 ⑦特例貸付制度利用者に対する返済免除の要件を緩和する。
 ⑧急激な物価高騰に対応して生活保護基準を引き上げる。
 ⑨住民税非課税世帯に限定せず、困窮者に対する給付金を拡大する。
 ⑩住宅確保給付金の対象拡大と延長を行う。
 ⑪小学校休業等対応助成金、支援金を継続する。
 ⑫アルバイト収入が減少した学生等への生活支援給付を行う。
 ⑬最低賃金を時給1,500円に引き上げる。大企業への内部留保課税を新設し、税収増、不公平是正を図るとともに賃金引上げに誘導する。10兆円規模の中小企業への賃金引上げ支援を講じて賃金を引き上げる。
 ⑭安全・安心の医療・介護の実現へ、全てのケア労働者のまともな賃上げを実現する。
 ⑮年金減額をストップする。
 ⑯円安を誘導し、輸入物価を引き上げる異次元の金融緩和政策からの抜本的転換を図る。
 これらの16項目を実効性のある感染対策と経済対策として、スピード感を持って取り組むよう、政府に要請すべきです。一括での見解を伺います。
 3.子どもの貧困対策について。
 玉城デニー県政は、2021年度沖縄子ども調査の報告書を公表しました。小学5年と中学2年の親子を対象に分析した結果、新型コロナウイルスの影響で低所得層がさらに困難な状況に置かれていることが浮き彫りになっています。生活がより厳しくなっただけでなく、影響は学習面や心の健康にも色濃く表れています。報告書の概要と見解を伺います。
 4.6月補正予算案について。
 (1)2022年度子育て世代に対する子育て世帯生活支援特別給付金及び2022年度子育て世帯生活支援特別給付金(那覇市新型コロナ感染症対策)について伺います。
 (2)那覇市まなびクーポン事業について伺います。
 (3)児童クラブ賃借料補助金について伺います。
 5.那覇市ぶんかテンブス館及び那覇市伝統工芸館について。
 (1)現在の利用状況と課題。
 (2)伝統工芸館及びぶんかテンブス館の一体的活用に関する基本方針。
 (3)基本方針に基づく、てんぶす那覇マネジメント事業(TMO)について伺います。
 残りの時間は質問席にて行います。

○久高友弘 議長 
 城間幹子市長。

◎城間幹子 市長 
 前田千尋議員の代表質問のうち、私のほうからは4番目の(3)についてお答えいたします。
 児童クラブ賃借料補助金は、民間の空き店舗や民家、アパート等を賃借して運営している放課後児童クラブの負担軽減のため、本市がその費用の一部を支援する事業となっております。放課後児童クラブは、多くの施設が民設民営で運営されており、家賃額の8割以内で、月額上限8万円の補助を行っておりましたが、補助上限を超えた費用が利用者の負担増につながる状況や、クラブの保育環境改善も課題となっておりました。そのような中、沖縄県が新たに創設した補助制度と、国の子ども・子育て支援交付金を活用して、賃借料を月額25万5,500円まで全額補助できるよう本定例会において約7,100万円を増額補正し、一般財源も含め予算総額約1億3,700万円として上程いたしております。
 今後も、保護者の皆様が安心して子育てできるよう環境整備を図るとともに、本市の未来を担う子供たちが健やかでたくましく成長していけるよう、様々な支援を継続してまいります。

○久高友弘 議長 
 末吉正幸経済観光部長。

◎末吉正幸 経済観光部長 
 代表質問の1の(1)についてお答えします。
 本市はこれまで、コロナ感染症の影響を受け休業要請に応じた飲食店への感染症拡大防止協力金をはじめ、飲食店や商店、中小零細事業者等に対する支援として、買エール商品券事業等の消費促進事業、本市の基幹産業である観光関連産業を支援する那覇とまーるクーポン事業、雇用の継続を目的とした雇用を守る事業者支援事業、またコロナ禍の中での事業の転換や業態変化に取り組むコロナ対策事業刷新支援事業等を実施するなど幅広い事業について、当初予算、補正予算及び予備費流用等により、時宜に応じ臨機応変に取り組んでまいりました。
 国においては先日、物価高騰対策の予算を盛り込んだ補正予算が成立していることから、コロナ禍の影響を受けた事業者に対する支援策については、国や県の動向も注視しながら、今後も補正予算等の対応を含め、適宜取り組んでまいりたいと考えております。

○久高友弘 議長 
 比嘉世顕まちなみ共創部長。

◎比嘉世顕 まちなみ共創部長 
 前田千尋議員の代表質問1番目、(2)適切な公共事業等の発注になるよう対策を講ずることについてお答えいたします。
 本市の公共工事においては、沖縄県の公共単価等に基づき積算し発注されております。通常公共単価は、沖縄県において建設資材や燃料等に関し市場調査による年4回の単価入替えがなされ、その都度、市場の実勢価格を反映した内容となっております。しかしながら、現在のコロナ禍やウクライナ情勢等の影響による急激な物価高騰が原因で、工事金額の変動も起こり得る可能性がございます。
 本市といたしましては、物価変動の動向を注視しながら、県と連携し必要に応じて対策を講じてまいります。

○久高友弘 議長 
 宮城寿満子福祉部長。

◎宮城寿満子 福祉部長 
 御質問1のうち、(3)、(6)、(7)、(13)について順次お答えいたします。
 まず初めに、(3)インボイス制度の影響についてお答えいたします。
 インボイス制度とは、令和5年10月から実施される適格請求書等保存方式のことで、税務署長の登録を受けた課税事業者が交付するインボイスを介在した取引のみが仕入税額控除の対象となるものです。会員の多くが年間課税売上高1,000万円以下の免税事業者であるシルバー人材センターは、会員からインボイスの交付が受けられないため、会員への配分金が仕入税額控除の対象とならず、事業の運営に対して大きな影響を受けることが予想されています。
 インボイス制度の実施については、令和4年3月25日に開催された国会の財務金融委員会での説明の中で、地方議会からの中止・延期などを求める意見書が97件に上っているとのことでございました。また、全国市長会は国に対し適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入に当たっては、シルバー人材センター事業の安定的な運営に向けた措置を講じるよう提言しております。
 本市としても、シルバー人材センターは、高齢者の生きがいづくりとなる就業機会の確保について大きな役割を担っているものと認識しておりますので、国の動向も注視しながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、(6)の低所得者への経済的支援策の拡充についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、様々な困難に直面した方々に対し、速やかに生活・暮らしの支援を行う観点から、1世帯当たり10万円を支給する住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金事業を進めているところです。今般、令和4年4月26日付で国が示したコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策において、真に生活に困っている方々への支援措置の強化として、家計急変により受給資格があるにもかかわらず、申請がないことにより受給できていない世帯に対して、令和4年度課税情報を活用したプッシュ型給付を行うこととされました。
 現在、その準備を進めており、その詳細についてはホームページ等でお知らせすることとしております。さらなる支援策の拡充につきましては、今後も国の動向を注視するとともに情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして(7)の生活保護受給世帯へ緊急的な見舞金を支給することについてお答えいたします。
 物価高騰やコロナ禍の影響により、生活保護受給世帯へも大きな影響があるものと推察されます。生活保護受給世帯への影響に配慮した市独自の緊急的な見舞金につきましては、今後の研究課題として情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、(13)の介護、福祉施設に対してガソリン代の補助を行うことについてお答えいたします。
 通所介護、いわゆるデイサービスや放課後等デイサービスなどの福祉施設においては、車両による送迎サービスが実施されており、その他サービスにおいても自動車は広く活用されているため、ガソリン代の高騰による施設運営への影響は少なくないと思われます。他自治体における事例や支援ニーズを踏まえ、調査研究してまいりたいと考えています。

○久高友弘 議長 
 根間秀夫健康部長。

◎根間秀夫 健康部長 
 代表質問の1番目、(4)、(5)について順次お答えいたします。
 初めに、(4)についてお答えいたします。
 令和4年度から国民健康保険の子育て世帯に対する経済的負担の軽減を図るため、全国一律の制度として、未就学児の均等割保険税を5割軽減し、その軽減相当額は、公費で支援する措置が実施されております。軽減の対象を未就学児から18歳未満まで拡充し、軽減相当額を補助することにつきましては、国の責任と負担において市町村の財政を圧迫しないよう検討すべきものと考えていることから、引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、(5)についてお答えいたします。
 後期高齢者の窓口負担の在り方等につきましては、これまでも沖縄県後期高齢者医療広域連合及び全国後期高齢者医療連合協議会を通して、国へ要請を行ってまいりました。窓口負担割合の変更につきましては、令和4年10月1日より施行され、施行後3年間については、急激な窓口負担額の増加を抑えるため、外来受診の負担増額については、最大で月3,000円に収まるよう配慮措置を講じることになっております。
 本市としましても、今後も広域連合と連携を図りながらリーフレットやポスターなどを活用し、見直し内容などについて、周知・広報に努めてまいりたいと考えております。

○久高友弘 議長 
 新垣淑博こどもみらい部長。

◎新垣淑博 こどもみらい部長 
 代表質問の1番目(6)のうち、ひとり親世帯への経済的支援策にお答えいたします。
 本市では、ひとり親世帯を含む低所得の子育て世帯の生活を支援するため、国の子育て世帯生活支援特別給付金及び本市独自の子育て世帯生活支援特別給付金(那覇市新型コロナウイルス感染症対応)の実施を予定し、本定例会において補正予算を計上しております。
 続きまして(8)の子ども医療費助成についてお答えします。
 本市では、今年度よりこども医療費助成制度の対象年齢を中学卒業まで拡充しております。高校卒業まで年齢拡充することにつきましては、今回の年齢拡充による財政面や医療機関への影響等を見極めながら、県内市町村の動向を注視しつつ、県と歩調を合わせながら検討してまいりたいと考えております。

○久高友弘 議長 
 名嘉原安志教育委員会学校教育部長。

◎名嘉原安志 教育委員会学校教育部長 
 代表質問1番目のうち(9)~(11)について順次お答えいたします。
 初めに、(9)についてお答えいたします。
 就学援助基準につきましては、生計維持者等が失業や長期療養または休職したことにより収入がない等、那覇市就学援助事務取扱要綱に規定する、いわゆる特別事情に該当する場合には、申立てにより、緩やかな基準で審査を行っております。支給内容の拡充につきましては、関係部署と調整してまいりたいと考えております。
 次に、(10)についてお答えいたします。
 今般の食材費の高騰により、給食費の不足が懸念され、給食費の値上げも検討しなければならない状況が生じております。コロナ禍の影響等により家計が厳しくなった御家庭もあることから、今年度においては、給食費は現行のまま、保護者負担の増加を招かないよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、安定的な給食提供ができるよう、関係部局と調整していきたいと考えております。
 最後に、(11)についてお答えいたします。
 給食費は、全て食材購入費に充てており、受益者負担の観点からも、その費用は保護者に御負担いただいているところでございます。全児童生徒の給食費無償化につきましては、財政的にも厳しいものと考えておりますが、現在、生活保護や就学援助などの対象者につきましては、公費で給食費を支援しているところでございます。
 また、教材費につきましては、使用頻度の少ない教材を外すなど、保護者の経済的負担について配慮するよう校長連絡協議会や教頭連絡会で周知するとともに、文書で通知しております。
 教育委員会としましては、教材費について保護者の経済的負担に配慮するよう、引き続き周知してまいります。

○久高友弘 議長 
 金城康也企画財務部長。

◎金城康也 企画財務部長 
 代表質問の1番目の(12)、公租公課の減免についてお答えいたします。
 本市では、令和2年度から新型コロナウイルス感染症の影響により休業または休職の状態にある方の個人市民税については、減免の対象とし、令和4年度も継続して実施しております。固定資産税や法人市民税においても、これまで徴収猶予や換価猶予の制度の案内を行ってきているところでございます。
 また、令和2年度においては、地方税法における徴収猶予の特例制度の運用を実施したところでございます。減免等の実績につきましては、令和2年度の減免決定件数が20件、猶予許可件数が767件、令和3年度の減免決定件数が17件、猶予許可件数が93件となっております。
 今後とも、市民の暮らしと事業者を支援するため、これらの減免制度及び猶予制度の周知や納税相談を丁寧に行うなど、コロナ禍の影響を受けている市民や事業者に寄り添う税行政を心がけ、適切かつ柔軟な制度運用に努める所存でございます。

○久高友弘 議長 
 大嶺政信上下水道部長。

◎大嶺政信 上下水道部長 
 代表質問の1番目の(14)上下水道料金の基本料金を新型コロナ対策で実施されたように、4か月間免除することについてお答えいたします。
 上下水道事業は、公営企業として独立採算制のもと、収支のバランスを保ちつつ、安定した事業運営を行うことが重要な責務でございます。そのため、料金の減免は利益の範囲内で行うべきものと考えております。
 前回、令和2年度に新型コロナ対策として全市民に対し水道料金の基本料金減免を行いましたが、現在は水道事業、下水道事業においても、長引くコロナ禍の影響により収益が減少しております。
 令和4年度においては減免を行うほどの利益は見込めないことや、今後の上下水道施設の更新、耐震化への費用も必要となることから、水道料金等の減免の実施は難しいものと考えております。

○久高友弘 議長 
 末吉正幸経済観光部長。

◎末吉正幸 経済観光部長 
 代表質問2について、経済対策の観点からお答えいたします。
 我が国の経済を取り巻く環境は、長引くコロナ禍に加え原油価格の高騰や急激な円安など、様々な課題が表出しており、非常に厳しい状況に置かれております。そのため食料品等の日常品が値上げを余儀なくされるなど、国民生活や企業活動は大きな影響を受けており、御質問の16項目については、いずれも国民や事業者に寄り添う必要な施策であると考えております。
 新型コロナ対策や原油高騰対策といった経済対策については国全体の課題であり、議員御質問のとおり、第一義的には国がリーダーシップを発揮し、スピード感を持って積極的に取り組んでいく必要があるものと考えております。

○久高友弘 議長 
 根間秀夫健康部長。

◎根間秀夫 健康部長 
 代表質問2番目について、感染対策の観点からお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策については、今後とも引き続き、国民・事業者全体で取り組むことが必要でございます。現在、継続している感染対策に係る費用についても、国の予算で対応していただければと考えております。

○久高友弘 議長 
 新垣淑博こどもみらい部長。

◎新垣淑博 こどもみらい部長 
 代表質問3番目、子どもの貧困対策についてお答えします。
 令和4年5月31日に沖縄県が発表した「2021年沖縄子ども調査」は、沖縄県内の小学5年生と中学2年生及び0歳から17歳を対象に、児童生徒や保護者へ生活実態や支援ニーズ等を把握する調査を行ったものであります。調査は令和3年10月に実施され、児童と保護者から合わせて1万4,331件の回答が得られております。
 調査結果からは、年収127万円未満の低所得層の割合は、2015年調査の29.9%から2018年調査では25.5%と改善傾向にありましたが、今回の調査では28.9%と悪化しております。また、低所得層の占める割合は、ふたり親よりもひとり親世帯が高く、ひとり親世帯の約6割から7割が低所得者層との結果になっております。
 調査項目のうち新型コロナウイルスによる影響として、「学校の授業が分からないと感じることが増えた」とする割合は低所得層ほど高く、「不安感や気分の落ち込みが増えた」割合の全国比較では、全国より沖縄県が約10ポイント高くなっており、コロナ禍が経済的な問題だけではなく、心理的にも影響していることが明らかになっております。
 また、低所得層が経済的な理由で所有していないものとして「5万円以上の貯金」が約46%、「インターネットにつながるパソコン」が約30%、また、低所得層の半数近くの保護者が「食料が買えなかった経験」があると回答しております。自由記述では、「服や靴を買ってあげられない時期があった」、「厳しい家庭の子供だけを集める学習支援ではなく、塾の費用を支援してほしい」などの声がありました。
 この調査結果から、コロナ禍により社会的に弱い立場にある方々の困難な状況が浮き彫りとなっており、その結果について本市としても重く受けとめているところであります。
 続きまして、御質問4番目(1)子育て世帯生活支援特別給付金についてお答えします。
 当該事業のうち、国庫補助10割の2事業は、令和4年度新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金を活用し、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、食費等の物価高騰などに直面する低所得の子育て世帯に対し、児童1人当たり5万円の特別給付金を支給するものです。
 また、子育て世帯をさらに経済的に支援するため、本市の独自事業、子育て世帯生活支援特別給付金(那覇市新型コロナウイルス感染症対応)として地方創生臨時交付金を活用し、児童1人当たり2万円を支給します。支給額は国庫補助10割の事業による支給と合わせて、合計で児童1人当たり7万円になります。
 支給対象者は、児童扶養手当受給者、令和4年度分の住民税均等割が非課税の子育て世帯、令和4年1月以降に収入が減り非課税世帯と相当となった世帯等となります。
 対象児童数は約1万9,000人を見込んでおり、事務費を含む事業費はひとり親世帯が約4億3,700万円、令和4年度分の住民税均等割が非課税の子育て世帯が約5億100万円、那覇市独自分が約3億8,100万円となります。
 支給時期につきましては、本市独自分を含め、申請を要しない児童扶養手当受給者が6月末までに、令和4年度分の住民税均等割が非課税の児童手当受給世帯または特別児童扶養手当受給世帯が7月末までの支給を目指し、準備を進めているところです。
 また、申請が必要となる家計が急変したなどのひとり親世帯の申請受付を7月に、その他の家計急変世帯等については、8月から申請受付を開始する予定としております。
 続きまして、(2)についてお答えします。
 那覇市まなびクーポン事業は、2年間のモデル事業として実施してきたスタディクーポンモデル事業の後継事業として、今年度から本格実施している事業です。
 本事業は、生活保護世帯の小学4年生から6年生に対し、学習塾などで利用可能なクーポンを提供することで、放課後の学びの格差を解消し対象児童の学習意欲等の向上、将来的な貧困の連鎖解消を目指すものとなっております。
 モデル事業においては、利用者が自己肯定感などを感じ始めている様子が確認できており、事業の継続や対象の拡大の声も多く寄せられておりました。
 そのような中、沖縄振興特別推進交付金の活用により、準要保護世帯及び児童扶養手当受給世帯約2,000人へ対象を拡大するため、当初予算の利用想定76人分の事業費1,231万1,000円から、本定例会においては新たに1,000人分の利用者を想定した8,873万2,000円を増額補正し、予算総額は1億104万3,000円として上程しております。
 本事業を通じて、これからの社会を創る子供たちが学校外での学びの機会を得ることにより、将来の夢や目標といった自信や生きる力を育み、たくましく成長していけるよう、事業を推進してまいりたいと考えております。

○久高友弘 議長 
 末吉正幸経済観光部長。

◎末吉正幸 経済観光部長 
 代表質問5の那覇市ぶんかテンブス館及び那覇市伝統工芸館に関する(1)から(3)について順次お答えいたします。
 まず(1)那覇市ぶんかテンブス館における昨年度の利用状況につきましては、多目的ホール、会議室及びギャラリーの稼働率は約30%、和室は約20%、レッスンルーム、研修室においては約10%、音楽スタジオ、調理室においては約5%でございます。
 次に、那覇市伝統工芸館における昨年度の利用状況につきましては、特別展示室の入館者数は474人、体験工房の利用者は2,094人、また、同期間における販売所の売上は約1,450万円となっております。
 両施設とも新型コロナウイルス感染症の影響を受け昨年度の利用率は大きく低下しておりますが、コロナ禍以前から多目的ホール、ギャラリーを除く他施設の稼働率は5割を割っており、レッスンルーム、研修室、音楽スタジオ、調理室、和室は1割から2割程度で留まり年々減少傾向にあり、伝統工芸館における特別展示室の入館者数は、平成30年度で2,480人、販売所の売上は約2,750万円であり、同じく減少傾向にありました。
 課題としましては、両施設の稼働状況などからは、ぶんかテンブス館条例の「地域の活性化に資する」という設置目的、及び伝統工芸館条例における「伝統工芸産業の振興及び発展」といった目的について、残念ながら達成するに至らなかったことが大きな課題であると認識しております。
 また、両施設は建設から18年が経過しており、その間にほしぞら公民館やなはーと、首里染織館suikara、おきなわ工芸の杜といった類似する機能を持った施設が近隣等に誕生するなど施設を取り巻く環境も変化しております。それ以外にも施設や設備の老朽化、ポケットパークなどの隣接施設との連携が十分でなかったことなどが課題として挙げられるところです。
 続きまして、(2)についてお答えします。
 一体的活用に関する基本方針については、両施設の課題を整理するとともに、果たすべき役割や目的を改めて検討し、時代の変化に合わせてその機能を見直すことによって、よりまちに賑わいを創出する施設とすることなどを目的に策定しております。
 本方針におきましては、「文化が薫り、笑顔で賑わう館を民間活力により創出する」をコンセプトに掲げ、そのコンセプト実現のために3つの柱を掲げております。
 1つ目の柱は多様な文化の継承・発信と産業化、2つ目はニーズ等への迅速な対応、3つ目は民の力を発揮できる体制の構築としております。この3つの柱を軸に、民間事業者のアイデアやノウハウを活用し、ぶんかテンブス館及び伝統工芸館を総合的かつ戦略的な方針の下、一体的に管理及び運営を実施することを目指しております。
 また、今後の一体的活用においては、残すべき施設や機能について整理するとともに、今後の運営について、民間の総合的プロデュース力を発揮できる制度について取りまとめております。
 最後に、(3)基本方針に基づくてんぶす那覇マネジメント事業の概要についてお答えします。
 新たな運営管理の手法として、指定管理業務、魅力度向上業務及び付加価値業務の3つの業務を一体的に実施することとしております。
 まず、指定管理業務においては、多目的ホール、国際通り情報発信ステーション及び体験工房の3つの施設については、引き続き指定管理者制度を活用し、公の施設としてサービスの提供を行ってまいります。なお、本指定管理に関しては、本定例会にてんぶす那覇条例を上程しているところでございます。
 次に、魅力度向上業務においては、指定管理施設以外の床面積部分について、行政財産として有償の賃貸借契約に基づき貸与する予定です。また伝統工芸品の展示や販売については、民間事業者の自由な発想、総合的なプロデュース力により施設全体を活性化することとしております。
 最後に、付加価値業務については、隣接・付随するポケットパーク、てんぶすビジョン、希望ヶ丘公園内大綱モニュメント施設についても、民間事業者の自由な発想や柔軟かつ優れたアイデアにより活用していただくもので、施設及び周辺地域全体の付加価値の向上を目指しております。
 なお、魅力度向上業務及び付加価値業務において事業者に収益が上がった場合は、事業者のモチベーションの維持・向上の観点を重視するともに、指定管理者制度における余剰金の市への納付の考え方を踏まえつつ、対応する方針です。
 本市としては、この3つの事業を総合的に実施することにより、施設及びその周辺の活性化を図ることを想定しており、そのような能力等を有する事業者を公募により選定することなどの全体的な枠組みをてんぶす那覇マネジメント事業としております。

○久高友弘 議長 
 前田千尋議員。

◆前田千尋 議員 
 市民に寄り添った補正予算案、そして新たな施策を高く評価いたします。
 沖縄子ども調査の報告書、モニターを御覧ください。
       (モニター使用)
 調査で明らかになった県民の声となっています。本当に心が痛みます。貧困状況にある子供たちが健やかに育成される環境を整備し、教育の機会を均等に確保する、誰一人取り残さない沖縄らしい優しい社会づくりへ、全県、全国をリードするオール沖縄・城間市政の子ども貧困対策の取組を伺います。

○久高友弘 議長 
 新垣淑博こどもみらい部長。

◎新垣淑博 こどもみらい部長 
 お答えいたします。
 本市の将来を担う子供たちが、その生まれ育った環境に左右されず、健やかに育成されることが重要と捉え、平成28年度より関係24課長で構成する庁内組織を設置し、全庁的な連携強化のもと貧困対策事業を先進的に実施しております。
 内閣府の沖縄子供の貧困緊急対策事業においては、支援員配置事業と子どもの居場所運営支援が2本柱となっております。
 支援員配置事業では、子ども寄添支援員や子ども自立支援員など貧困対策支援員を配置し、家庭や学校、関係機関と連携を行いながら、子供たちが将来自立できるように支援を行っております。
 子どもの居場所運営支援事業では、居場所の新規立ち上げに関する相談及び支援、ボランティア団体等のネットワークづくりなどを行っております。また、居場所型学習支援事業いわゆる無料塾や子ども食堂などの支援を実施しております。
 さらに、沖縄県の交付金等を活用し、就学援助の充実や放課後児童クラブの利用料軽減事業に加え、まなびクーポン事業など、様々な本市独自事業を実施するなどの取組を行っております。
 コロナ禍などもあり、本県の子どもの貧困問題については引き続き深刻な状況が続く中、子供たちが健全に育成され、希望する進路に向かえるよう、子どもの貧困対策を推進してまいります。

○久高友弘 議長 
 前田千尋議員。

◆前田千尋 議員 
 高く評価いたします。物価高騰とコロナ禍で苦しむ子育て世帯を支えるためにも、安心して子育てできるさらなる支援が必要です。
 日本共産党は、お金の心配なく学び、子育てができる社会の実現を目指し、憲法26条で定められている義務教育の完全無償化を掲げています。学校給食法は、食を通じた子供の心身の健全な発達を目的とし、食育の推進をうたっています。学校給食は、教育の一環として実施されています。国の責任で学校給食は無償化すべきです。
 今、国民の生活苦の根本にあるのは、弱肉強食の新自由主義が日本経済を冷たく弱い経済にしたことにあります。6月15日から年金を下げ、医療費負担を引き上げようとしている岸田自公政権では、物価高騰から暮らしを守ることはできません。
 日本共産党は、「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」つくろうと提唱し、(1)消費税5%への減税、インボイスの中止、(2)政治の責任で賃金が上がる国に、(3)社会保障と教育に経済力にふさわしい予算を、(4)気候危機打開の本気の取組、(5)ジェンダー平等の視点を貫く。この5点を提案しています。日本共産党は、国民と市民の願いを実現するために、オール沖縄・城間市政、玉城県政と引き続き力を合わせ、大同団結して全力で頑張り抜いてまいります。
 以上で、日本共産党の代表質問を終わります。ありがとうございました。

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