意見書提案理由 核兵器禁止条約署名・批准 古堅
意見書案第10号 核兵器禁止条約に署名、批准し、唯一の被爆国にふさわしい核兵器廃絶に向
けた努力を求める意見書 提案理由説明 2019年8月19日 日本共産党 古堅茂治
ハイサイ、グスーヨー チューウガナビラ。オール沖縄・日本共産党の古堅茂治です。
ただいま議題となりました、ニライ会派と日本共産党が共同で提案した意見書案第10号「核兵器禁止条約に署名、批准し、唯一の戦争被爆国にふさわしい核兵器廃絶に向けた努力を求める意見書」について提案理由を申し上げます。
第2次世界大戦は、2千万人をこえるアジア諸国民と3百万人をこえる日本国民、10数万人の沖縄県民の尊い生命を奪いました。この戦争のなかで、沖縄は一般住民を巻き込んだ悲惨な地上戦の戦場となり、日本本土も全土にわたる空襲で多くの地方が焦土となりました。さらに、1945年8月6日に広島で、9日に長崎で、アメリカ軍が投下した原子爆弾のさく裂による強烈な光線と熱線、大量の放射線、爆風は人々の体を貫き、おびただしい命を奪いました。原爆投下から4か月余りのうちに、広島で約14万人、長崎で約7万4000人が亡くなっています。生き延びた人々も放射線障害などによって長年苦しみ、被爆者が語る言語に絶する体験は、核兵器が他に例をみない非人道的な、無差別の大量破壊兵器であることをはっきりと示しています。
核兵器がいかに非人道的で破滅的な結果をもたらすかは、広島・長崎の惨状が示しています。被爆者と広島平和記念資料館、長崎原爆資料館は、その惨状、実相を生々しく伝えてくれています。 この核兵器がもたらす生き地獄、広島・長崎の惨状を繰り返してはならない、被爆者をはじめ、多くの国民の強い願いです。私たち日本国民は核兵器による惨害、いたましい被害をその歴史に刻み込んだ世界で唯一の戦争被爆国民です。広島、長崎、そして沖縄の戦争による惨禍は絶対に忘れてはなりません。「ノーモア・ヒバクシャ」、ふたたび被爆者と戦争犠牲者をつくってはなりません。
ところが、現在、核兵器は世界に約1万4000発、9カ国が保有し、核兵器の破壊力も広島、長崎型の原爆の100倍以上と進化し、核兵器の使用、核戦争の危険が地球と人類を脅かしています。また、核兵器にかかわる重大事故は、世界各地でいくつも発生しています。今、大国の軍拡競争のなかで蓄積された膨大な量の核兵器は、人類の存続にとっての重大な脅威となっています。
核兵器は、いかなる理由であれ、いかなる地域においても、再び使われてはならない大量破壊、無差別殺人の「悪魔の兵器」です。大量破壊兵器の禁止・廃絶を取り決めた条約としては化学兵器条約(1997年発効)、生物兵器条約(1975年発効)があります。しかし、もっとも残虐で、最大の被害をもたらす核兵器についてはこうした条約はありませんでした。
この状況を克服するためにつくられたのが、2017年7月に国連加盟国の約3分の2にあたる122カ国が賛成して採択された核兵器禁止条約です。同条約では、核兵器について、破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪し、核兵器は不道徳であるだけでなく、国際法史上初めて違法なものとしています。条約の前文では、「核兵器使用の被害者(ヒバクシャHibakusha)および核実験の被害者の容認しがたい苦難と損害」に留意し、核兵器廃絶を訴え続けた「ヒバクシャ(Hibakusha)の取り組み」を評価しています。
この核兵器禁止条約は、広島・長崎をはじめとする我が国の被爆者を先頭とする努力、日本と世界の反核運動が連携して、つくりあげたとも言える歴史的条約です。同条約には、すでに70カ国が署名し、25カ国が批准しています。50番目の国が批准してから90日後に発効します。
そして、8月6日、9日に発表された戦争被爆地の「広島平和宣言」「長崎平和宣言」でも、日本政府に対し、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への署名・批准と核兵器廃絶への努力等を求めています。同趣旨の地方議会の意見書は、沖縄県議会での全会一致の採択をはじめ、全国自治体の23%、406議会で決議され、さらに広がりつつあります。
また、被爆者が呼びかけて、核兵器廃絶と核兵器禁止条約にすべての国が加盟することを求めている「ヒバクシャ国際署名」には、全国65%の自治体のトップ、20名の知事、1150名の市区町村長と国内外で941万人以上が賛同・署名する大きな運動となり広がっています。原爆を投下したアメリカでも、州・市議会が署名・批准を呼びかける決議の採択が相次ぎ、7月1日の全米市長会議の年次総会でも、核兵器禁止条約の支持を確認しています。このように核兵器の廃絶と核兵器禁止条約の批准を求める世論と運動は、国際政治を動かす大きな流れとなっています。
来年は戦争被爆75年、核兵器不拡散条約発効50周年の節目の年です。5年に1度の核兵器不拡散条約再検討会議が開かれます。最大規模の核軍縮交渉でもあるこの会議で、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の核保有大国などが、核不拡散条約第6条に定められている核軍縮の交渉義務を果たすとともに、核兵器廃絶へ向けて力強く進む転機にすることが求められています。
子や孫の明るい未来、命が輝く青い地球を未来に残すために、人類の死活にかかわる核戦争の防止と核兵器の廃絶は必ず実現しなければなりません。
こうしたことを踏まえ、協議した結果、日本政府に対し、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界と恒久平和の実現を願う世界の人々と連携し、核兵器の禁止・廃絶に向けて真剣に努力する証として、核兵器禁止条約に速やかに署名、批准することを求めるために、この趣旨に賛同する議員の連名により、ここに意見書案を提出した次第です。それでは、意見書の案文を朗読いたします。
核兵器禁止条約に署名、批准し、唯一の戦争被爆国にふさわしい核兵器廃絶に向けた努力を求める意見書
広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから 72 年を経た 2017 年7月7日、国連会議で、歴史的な核兵器禁止条約が国連加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で採択された。
核兵器禁止条約は、核兵器について、破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪し、核兵器は不道徳であるだけでなく、国際法史上初めて違法なものとした。
そして、開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、移転、受領、配備、使用と使用の威嚇など、核兵器にかかわる活動を全面的に禁止するものとなっており、また、核保有国が条約に参加するために、その核兵器を廃棄する手順も定めている。さらに、被爆者や核実験被害者への援助も定めていて、被爆国、核実験被害国の国民の切望にも応えるものとなっている。
このように、核兵器禁止条約は、被爆者とともに日本国民や世界の人々が長年にわたり人類の死活にかかわる問題として熱望してきた核戦争の防止と核兵器の廃絶につながる画期的なものである。
この核兵器禁止条約の採択から2年が経過し、世界各国でも前向きな変化が生まれている。条約には、すでに70カ国が署名し、25カ国が批准している。
被爆者が呼びかけ、核兵器廃絶と核兵器禁止条約にすべての国が加盟することを求めている「ヒバクシャ国際署名」も国内外で大きく広がっている。
来年は戦争被爆75年、5年に1度の核兵器不拡散条約再検討会議が開かれる。最大規模の核軍縮交渉でもあるこの会議で、米英仏ロ中の核保有大国などが、核不拡散条約第6条に定められている核軍縮の交渉義務を果たすとともに、核兵器廃絶へ向けて力強く進む転機にすることが求められている。
よって、本市議会は、広島と長崎への原子爆弾投下や戦争で犠牲になられた方々に心から哀悼の誠を捧げるとともに、日本政府に対し、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界と恒久平和の実現を願う世界の人々と連携し、核兵器の禁止・廃絶に向けて真剣に努力する証として、核兵器禁止条約に速やかに署名、批准することを強く求めるものである。以上、地方自治法第 99 条の規定に基づき、意見書を提出する。 令和元年(2019年)8月19日 那覇市議会
なお意見書の宛先は、衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 外務大臣となっております。
ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・オキナワ、ノーモア・ウォー、核兵器のない世界、戦争のない恒久平和への那覇市議会の熱い想いを発信しようではありませんか。議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。
グスヨー ユタシク ウニゲーサビラ
以上